
どうすれば「自然農」を成功させることができるのでしょう?
この「虎の巻」では自然農をスタートさせるために、特に知っていただきたい大切なポイントを抽出しました!ぜひご一読ください。
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1.自然農のはじめ方
「生命の食・ガイアプラン」
1.自然農のはじめ方
「自然農」を実践する上で、知っていただきたい基本的なポイントをまとめました。
(1-1)自然農の三原則
耕さない
いちばん大切なのが「耕さないこと」自然界の大地では、たくさんの動植物や微生物が暮らし、次世代へ生命のバトンを渡すことを繰り返しています。
肥料・農薬を使わない
自然にまかせておけば土は豊かになります。人間が何かをそこに持ち込むとバランスが崩れます。
虫と草を敵としない
多くの生物は草の周囲に暮らしています。虫はもちろん小さな土壌生物も土を豊かにし、作物の生長を助けます。
<ワンポイント解説>
耕さなくて、なぜ大丈夫? [詳しく見る↓]
自然の中には「野菜も草も自然に生えるような仕組み」ができあがっています。自然農の畑は調和のとれた生態系が成り立ち「無限の命」に支えられ、作物が育ちます。耕さなくても、肥料をやらなくても、必要な栄養が自然の中には備わっているのです。
害虫対策は? [詳しく見る↓]
自然農の世界では「害虫」という言葉は使いません。みな必要があって存在しているので、害虫とそうでない虫の区別は 自然界では存在しないのです。
野菜にとって注意すべき虫が来た場合、植物と虫の世界でもコミュニケーションが取られ、その虫の天敵となる虫が呼び寄せられる、そのような自然の豊かな営みが行われています。
【動画】自然農の三原則
(1-2)自然農 全体の流れ


3つの道具を中心に、必要な道具を準備します
雑木林や家庭の庭などで、畑となる場所を確保します
草刈りをしたうえで、畝をつくります
畑の状況や季節により最適な方法が変わります
野菜によって収穫方法が異なります
在来種・固定種であれば種を採取することが可能です
必要な道具を準備します
雑木林や家庭の庭など、畑となる場所を確保して、草を刈り、畝をつくります
畑の状況や季節により最適な方法が変わります
野菜によって収穫方法が異なります
在来種・固定種であれば種を採取することが可能です
<ワンポイント解説>
「自然を支配しようとしないこと」「生命の循環に寄り添い任せること」が様々な場面において大切な考え方となります。
【動画】自然農の全体像
(2-1)農具の準備
<基本となる3つの道具>

ノコギリ鎌
刃がノコギリ状になっていて、草刈りも収穫もこれ1本で対応が可能。種を蒔くときに土の塊を細かく砕くこともできます。
ショベル
錆びにくいステンレス製がお勧め。土や水がついた状態で放置しないように注意を。
平 鍬
新しく畑を開墾する時や雑木林の木を倒す時など、幅広く使うことができます。

【動画】農具について
その他の便利な道具
✔ 移植ゴテ ✔ 三角ホー ✔ レーキ ✔ 三本鍬 ✔ プラスチックボール
(2-2)畝作り
作物を育てるために、土を盛り上げた箇所を「畝」と呼びます。畝は地域の気候・地形・地質など土地の条件によって、畝を作った方がよい場合、作らない方がよい場合があります。水はけのよくない場所や、雨の多い地域は畝があったほうが良いでしょう。
【畝の作り方/手順】

まず畝となる場所の四隅に棒を立て、ロープを張ります

畝となる場所の草を刈ります/ 草を外側に掻き出します

ロープの外側にスコップで溝を掘ります

畝の真ん中が高くなるように堀った土を入れます

畝の上をかまぼこ型・山型に、天辺に水が溜まらないように整地します

最後に刈った草を畝の中央に乗せます

【動画】畝作り
※草が枯れている冬場での作業をお薦めします
(2-3)自然農の種のまき方
自然農では、種をまくことを「種を下ろす」と言います。同じ野菜でも畑の状態や季節によって、よりよい方法が変わります。
※動画では、一例として、菜っ葉類の種のまき方をご紹介しています。
(冬)菜っ葉類「バラまき」
・種が入るように細かく土を砕く
・草を刈る(根っこは残す)
・高い位置から全面に飛ばすようにまく
・土をたたく(種が土の中に入っていく)
・上に小さい草を散らす(乾燥除け)
(春夏)菜っ葉類「すじまき」
・三角ホーで根っこまで削る
・地面を削りながら土を細かく砕く
・間隔をあけながら種を並べる
・土をかぶせる / その後おさえる
・草をかぶせる
【動画】種をまく
<ワンポイント解説>
事前に農地の準備をしておきましょう!
・種をまく箇所の草を刈ります
・レーキを使って整地します
(2-4)雑草の管理方法
刈った草を畑に敷くことで、養分となり土を豊かにしてくれ、作物を乾燥から守ってくれます。
- 草の踏み倒し
・レーキで草を掻く
・立ったままの草は鎌で根から切る
・道具を使い分け踏み倒す
※草を踏み倒すことで次の草が生えなくなる(草マルチ) - 草刈り
・三角ホーで根っこまで削る
・地面を削りながら土を細かく砕く
・間隔をあけながら種を並べる
・土をかぶせる / その後おさえる
・草をかぶせる
※作物に光が当たるように、周りだけ刈る
【動画】草の踏み倒しと草刈り
(2-5)収穫・種をとる
【動画】自然農の収穫

- 収穫
野菜によって収穫方法が異なります。
詳しくは、動画「カリキュラム2【実践法】『自然の収穫』『野菜ごとの育て方』」をご覧ください。
→『野菜ごとの育て方』へ - 種をとる
在来種・固定種であれば種を採取することが可能です。自然農では基本的にタネを自家採取していきます。取れた種は同じ畑にまくと育ちやすいです。
<掲載野菜の一例>

3.自然農を成功させる
3つの極意
3.自然農を成功させる3つの極意
極意その1 自然農を成功に導くポイントは「土」にあり!
〜極意その1〜
自然農を成功に導くポイントは
「土」にあり!
- 土の中に良い微生物がいるか?活性化しているか?が大きな要因となります
- 農薬や肥料を使うと土が弱くなり、微生物の多様性が失われます
- 農薬や肥料を使用していた畑で自然農を行うと、4年~5年経っても野菜が実りません
極意その2 大切なポイントは場所選び
〜極意その2〜
大切なポイントは場所選び
- どのようにすれば、微生物が活性化するかが重要となります
- 畑を選ぶ際に、きれいに整った雑草のない畝のある畑は避けてください
- 雑木林のように雑草が生えて、一見畑に向いていないように見える場所が望ましいです
- 雑草が生えているところは「栄養がある土地」と言われています
極意その3 小さな規模から、段階的に進めるべし!
〜極意その3〜
小さな規模から
段階的に進めるべし!
- まずは家庭菜園、ベランダ菜園からはじめてみましょう!
- 次に規模を拡げて、大きな畑で試してみましょう
- 雑木林、耕作放棄地、市民農園を探してみるものよいでしょう
<ワンポイント解説>
土の中の微生物について
(重要なポイント) [詳しく見る↓]
土壌には多種多様な微生物が存在します。その数は1グラムの土壌に約100~1000万とも言われています。慣行農法で化学肥料や除草剤が使用されていた場合、草が生えないので有機物が供給されないうえ、薬により土中の微生物が減少しているため、自然農への転用は難しいとされています。土の中に微生物がいるか?微生物が活性化しているか?は自然農を成功させる上での重要なポイントです。
4.おわりに
4.おわりに
災害大国ニッポンに暮らすわたしたちー
令和6年元旦に発生した能登半島地震では、住宅被害は5万棟を超え、集落は孤立化。
地域全体のライフラインも止まり、甚大な被害に見舞われました。
もしも、日本国内で大規模災害が同時多発的に発生した場合・・・
例えば、南海トラフ巨大地震では、被害想定が東日本大震災の10倍。
西日本全体が壊滅状態になると言われています。
日本の国土の半分が被災すると、国内での救助や支援は当面の間、見込めないでしょう。
自然農の知識と実践を身に付けておくことが「必要な備え」になると私たちは考えます。
まずは、「生命の食・ガイアプラン」を通して、自分自身や家族など身近な人を守るための必要最低限の「食」を自給できるように、自然農をはじめましょう!